決勝戦 日本vs.キューバ 


 日本  400 020 004|10
キューバ 100 002 021|6

勝 松坂さん
S 大塚さん
敗 ロメロさん
本塁打 パレさんセペダさん

王JAPANがついにやった。
WBC初代王者に輝いたのは、世界一の栄誉を手にしたのは、
200時間以上かけて制作されたティファニーのトロフィーを手にしたのは、
メジャーリーガーを揃えたアメリカでもドミニカでもなく
アマチュア最強軍団のキューバでも、快進撃を魅せた韓国でもなく
我等が日本代表だった。
“野球“がベースボールを差し置いて世界一の座に輝いたのである。
初代MVPに選ばれたのは今日も好投を魅せた松坂選手

歴史の一ページとして永遠に残るであろう第1回大会。
その決勝戦を振り返ってみよう。

WBC初代王者を決める決勝戦はパワプロ2000を彷彿とさせるこのカードに決定した。
両チームの先発は松坂投手ロメロ投手となる。
また、日本の継投は渡辺俊さん→大塚さんのようになるとされている。

現在は本来ナショナルリーグの真っ最中であるキューバ。
それを中断してまでこの大会に臨んでいる。

さて、日本の先頭打者は初めて1番に抜擢された川崎さん
だが変化球を打たされピッチャーゴロに倒れる。
続く西岡さんは打った瞬間セーフとわかる内野安打を放つ。
1塁にランナーを置いて左打席のイチローさんはバントの構えをするなどして揺さぶる
とここで西岡さんが走った。
スタートこそ遅れたものの送球がワンバウンドとなって盗塁成功
得点圏にランナーを背負った大魔人・佐々木さんと同じ誕生日のロメロさん
自身の調子の悪さを感じ、変化球主体のピッチングに切り替えてくる。
追い込んだ後低めの変化球でスイングを誘うがイチローさんが選んでフォアボール。
1・2塁として4番の松中さんを迎える。
その威圧感の前にストライクが入らない
だが西岡さんのダミーの3盗が目に入るなどしてフルカウントと追い込まれる。
1死1・2塁、フルカウントでここは定石通りにエンドランのサイン。
外角のボールに必死で食らいつくと巧い具合に三遊間に転がり、
2塁ベースカバーに入ったショートの逆をつき、日本に流れを呼び込む内野安打
満塁のピンチに多村さんを迎えた所でキューバはロメロさんをあきらめ、オデリンさんにチェンジ。
だが日本の勢いを止めるどころかいきなり押し出しの死球を与えてしまい、見事日本が先制。
待望の先取点を手に入れた日本はさらにたたみかける。
続く小笠原さんが粘りに粘って連続の押し出し
乗りに乗っている里崎さんに期待がかかるが、あえなく3球三振に倒れてしまう。
2アウト満塁となり今江さんに打席が回る。
韓国戦のエラーで一時は亡命も考えたという今江さんは見事にセンターへ弾き返し4点目を奪った。
ピッチャーはN.ゴンザレスさんにスイッチし、青木さんを打ち取ってようやく3アウト目を取る。

4点のリードがかえって松坂さんにはプレッシャーだったのだろうか。
いきなりパレさん先頭打者本塁打を浴びてしまう。
だが松坂さんは動揺することなく後続を断つ。
初回終わって4―1と慌ただしい立ち上がりの一戦となった。

1回で打者一巡したためこの回も1番からの好打順
川崎さんのセーフティーバントは絶妙の位置に転がったが
キャッチャーのペスタノさんが華麗なフィールディングを魅せ、惜しくも間に合わず。
続く西岡さんが追い込まれた後、ハーフスイングするも、
1塁審が某デービッドソン氏だったためキャッチャーはアピールすることができなかった
だが結局は三振に倒れ、イチローさんに打席が回る。
大歓声が上がる中イチローさんは強烈な流し打ちを見せるが、
先ほどホームランのショート・パレさんの好捕にはばまれチェンジ。
キューバにいいプレーが2つも飛び出し徐々に流れが傾きつつあった。

2回裏。若干制球に苦しむ松坂さんだったが巧く落として先頭を三振に取る。
スライダーが浮いてしまう松坂さんだったがストレートは走っていた
151キロのストレートで連続の空振り三振を奪う。
その後ヒット、パスボールを許し、点が入るとイヤな感じだったがこれもストレートで押して三振に斬って取る。
スライダーは抜けっぱなしだったが奪ったアウトは全て三振
そう簡単にキューバへ流れは渡さなかった

3回表、松中さんが内角を振り抜くと1・2塁間をきれいに破りマルチヒットをマーク。
多村さんはファールで粘るも最後は三振。
先ほど三振に倒れた里崎さんに打席が回る。
ここぞという場面で頼りになる里崎さんはしっかり選んで歩き、一死1・2塁とチャンスを広げる。
小笠原さんは低めを巧く捕らえたかに見えたが上がり過ぎてセンターフライ。
依然チャンスの場面に先ほどタイムリーの今江さん
1打席目と同じくピッチャー返しを放つが今度は打球が弱かった。

その守り、インコースに甘く入った速球をラミレスさんに弾き返され、
無死2塁で一発を放ったパレさんを迎えてしまう。
警戒するバッテリーをバントで揺さぶってくる
松坂さんは変化球が定まらない
にわかにブルペンが騒がしくなる中投じた外角高め一杯のストレート。
ギリギリストライクの判定にスタンドからは大ブーイング
だが冷静な松坂さんは続けて同じところに放り込み、見事空振りの三振を奪った。
続くエンリケスさんは冷やっとさせる当たりを放つが思ったより伸びずレフトフライ。
だが依然ピンチ。
バッターボックスは栄光の背番号10を背負うグリエルさん
外野へ大きな当たりを打たれるがセンターの青木さんがしっかり押さえてチェンジ。

続く日本の攻撃はその青木さんから。
だが内角に中途半端なスイングで空振り三振。
続く川崎さんもショートライナーに倒れる。
右打席に入った西岡さんにストライクが入らない。
ここでなぜかスタンド全体でウェーブが巻き起こる。
四球で歩くと打席はイチローさんに回る。
せっかく二死から出たランナーだったが、
西岡さんが牽制にスタートを切ってしまいアウトでチャンスを潰す。

4番ボレロさんの打球は右中間への大飛球となったがセンターフライ。
続くセペダさんは華麗なセンター返し、
きれいなヒットと思われたが川崎さんのポジショニングが素晴らしかった。
華麗な横っ飛びの後すかさず一塁へ送球。
ハーフバウンドも小笠原さんがなんとか捕球し、某デービッドソン一塁審の目にも明らかなアウト。
このビッグプレーに流れは日本へ。
続くウルティアさんにヒットこそ浴びたが後続をライトフライに打ち取る。

イチローさんが華麗に流すと打球はレフト線を点々とし、ツーベース。
チャンスに松中さんは高めを弾き返してライト前のヒット。
鋭い当たりだったため、イチローさんは安全に落ちるのを待ってからスタートした。
早くも猛打賞となった松中さんの連打で無死1・3塁の大チャンスにキューバはたまらずピッチャーを交代。
4人目のペドロソさんがマウンドに登る。
昨日特大のホームランを放った多村さんに期待がかかる。
強烈なサードへの当たり。エンリケスさんが横っ飛びで好捕するも3塁ランナーのイチローさん迷わずホームへ。
もしかしたら刺せたかもしれないが握りなおしてしまい、ホームはあきらめる
この迷いのせいで一塁送球も間に合わない
続くプレッシャーのかかる場面で里崎さんは見事バントに成功。
一死2・3塁として打席には小笠原さん
キューバはすかさず左のパルマさんにスイッチ。
小笠原さんはタッチアップに充分のレフトフライを放つ。
イギニオ・ベレス監督の抗議もなく
一塁審の某デービッドソン審判員も大人しくしていたためリードは5点に広がる。
今江さんを迎え、連続して3ボールとなったが最後はボテボテのショートゴロに終わる。

ここで早くもピッチャーは2番手の渡辺俊さんに交代。
先頭を見事3球三振に打ち取る。
やはりキューバ打線にとっては打ちにくそうだ。
セーフティーバントなどで何とか突破口を探すキューバ打線だったがこの回はなすすべなく凡退。

スタメン起用に応えられなかった青木さんに代打の金城さんが送られる。
センターフライに倒れて続く川崎さんの打席。
再びセーフティーバントを試みると一塁は微妙なタイミング。
某デービッドソン塁審のジャッジということもありとても惜しく思えた。
続く西岡さんの放った3塁線のボテボテのゴロがファールと判定され、場内からはブーイング
結局はサードゴロに倒れ、この回は3者凡退。

エンリケスさんが鋭く1・2塁間を襲う打球を放つが小笠原さんがガッツを魅せてファインプレイ。
続くボテボテの当たりにランナーを見てしまった川崎さんがまさかのエラー。
続くボレロさんがレフト前に運び、キューバがたたみかける。
そしてセペダさんが振り抜くとギリギリ3塁線を破るタイムリーに。
真の4番、ウルティアさんもセンター前に運び連打連打で6―3。
だが渡辺俊さんもそう打ち込まれるわけにはいかなかった。
コントロールミスの高めを打たせると4―6―3のダブルプレイ。
ガルロボさんとの背番号31対決を見事征しチェンジにこぎつけた。

激しい反撃を受けるもまだまだ3点のリードを残している。
続くラッキー7の攻撃は3番のイチローさんから。
ここで追加して突き放したいところ。
だがどんどん調子を上げるパルマさんの前にあえなく3者凡退。

キューバの流れを断ち切るためにもこの裏の守備はとても重要なものとなった。
だが、川崎さんが前回に続くエラーを献上。
続くラミレスさんの当たりでまたしても川崎さんが弾くがなんとかダブルプレーに打ち取る。
自作自演とはいえチームに勢いをつけた…かと思われた。
ボテボテのファーストゴロでトスを受けたベースカバーの渡辺俊さんがまさかの落球
そして次のバッターはライトへ打ち上げた。
さすがにイチローさんが落とすはずはない。
3つポロポロがあった回を無失点に抑え、日本は救われた。

ベンチに戻った川崎さんは放心状態。
先輩たちに手洗く歓迎されていたがこれで点が入っていたらどうなっていたのだろうか…

8回の表は6・7回に続き3者凡退

8回裏、ボテボテの当たりに打ち取るも不運な内野安打を許す。
苦手とする左打者、キューバの新しい4番・ボレロさんを迎えたところで
ピッチャーは藤田さんにスイッチ。だが追い込んでからの制球が定まらない
キューバコールニッポンチャチャチャが鳴り止まない中、
最後は絶妙なコントロールを魅せてなんとかレフトフライに打ち取る。
バッターボックスは惜しくも川崎さんに阻まれるセンター返しとタイムリーを放ったセペダさん
巧く追い込んだのだが2―1からの打球はレフトへ高々と舞い上がる。
初回のパレさんよりも深いレフトスタンドへと突き刺さるツーランホームラン
たまらず王監督はマウンドに守護神・大塚さんを送る。
ここ、ペトコパークは昨年まで大塚さんが地元としていた球場。
日本代表のユニフォームを着てこの球場に立ちたいという夢は
韓国戦で達成されてはいたが今日も気迫のピッチングを魅せる。
まずピッチャーゴロを打ち取ると続くガルロボさんも打ち上げさせた。
エリア51へと力なく上がった打球は24個目のアウトに。

残るアウトは3つ。
もう1イニング投げなくてはいけない大塚さんのために、
どうしても追加点が欲しい9回表は金城さんからの攻撃。
ボテボテのサードゴロだったがサードが慌てて
難しいバウンドの送球となり、ファーストが弾いて内野安打。(記録はエラーという説もある)
続く川崎さんがバントをサード正面にしてしまい、失敗。
1アウト1塁と一つ損してしまったがここで西岡さんが絶妙のプッシュバント
深く守っていたセカンドの意表をつき内野安打
一死1・2塁でイチローさんを迎える。
振り抜いた打球は1・2塁間をきれいに破って本塁クロスプレーに。
川崎さん完璧にブロックされていたが右手でベースをかすめ、生還
これはトム・ハリオン主審の名ジャッジともいえるだろう。
カメラアングルによっては川崎さんがベースにタッチしているのが見えないというとこもあった。
奇跡の右手”で待望の追加点を挙げると続く松中さんは敬遠。
しばらく好投していたパルマさんだったがここで降板。
一死満塁のチャンスに代打福留さんが送られ、ムードは最高潮に。
逆らわずにレフトへ弾き返すと2塁ランナーのイチローさんまでも生還
イチローさんは必死のスライディングを魅せた。
なおも一死1・2塁のチャンスにバッターは里崎さん
粘って歩き、ピッチャーはマヤさんから7人目のY.ゴンザレスさんに交代。
小笠原さんは浅いレフトフライを打ち上げるが松中さんが思い切ってスタート
滑り込んだタイミングこそギリギリだったがキャッチャーがこぼしたため文句なしに生還。
投手変わってマルティネスさん今江さんが打たされ、9回の攻撃を終える。

4点を加えて、最終回のマウンド上にはもちろん大塚さん
だがいきなりペスタノさんにツーベースを浴びてしまう。
続くラミレスさんのライトフライの間に3進されるが残るアウトは2つ。
今日先制のホームランを放ったパレさん
ボテボテのショートゴロだったが宮本さんは取るのが精一杯
内野安打となり、1点を返される。
だがここからはいつもの大塚さんだった。
エンリケスさんを低めのスライダーで空振り三振に仕留めると、
続くグリエルさんも同じようにして三振に打ち取る。

見事日本代表が完勝
厳しい反撃に苦しみもしたが終わってみれば終始キューバをリード
そして2桁得点を挙げ、最終的に4点差と大差をつけた。

しかし、決して一方的なゲームとは言えなかった
キューバの粘りにはもの凄いものがあった。
計8投手を投じた采配にも絶対にあきらめないという決意が伝わってきた。
優勝こそ逃したがやはり国際大会の連続決勝戦進出記録は途切れなかった。

苦闘の末に世界の頂点に立った王JAPAN
日本の野球が世界でもトップクラス、いや最高のレベルにあることを証明できた。
一時は準決勝進出も危ぶまれたが、これで韓国を破った実力は本物であることを示せた。

初代の王者として永遠に称えられることとなった日本代表。
手放しに喜ぶイチローさんのヒーローインタビューからは
彼ら日本代表の興奮ぶりがひしひしと伝わってきた。
「信じられない」と話すイチローさんだったが、日本の世界一は充分に予想できた
日の丸にかかるプレッシャーは物凄いものだったはずである。
それを力に変えた日本代表。この大会を通じて一回りも二回りも成長したことだろう。
そんな彼らの活躍が日本で観ることができる日はもうすぐだ……

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