2001年シーズン途中に来日し4勝をマークした後、
2002年からは17勝、14勝、8勝、14勝と毎年勝ち星を積み重ねてきた。
この毎年安定した成績と今シーズンで30歳という年齢から巨人が目をつけて高年俸を提示して移籍ということになった。
昨年の成績は14勝12敗、防御率3.51。
負け数が多いのはオリックス打線が貧弱だったことを考えれば仕方のないところだが、
それでも貯金を作ったのは立派である。そんな彼の成績を検証しよう。
宮地 12打数1安打 打率.083
稲葉 11打数1安打 打率.091
細川 13打数2安打 打率.154
城島 13打数2安打 打率.154
SHINJO 12打数2安打 打率.167
中島 18打数4安打 打率.222
貝塚 16打数4安打 打率.250
赤田 16打数4安打 打率.250
大村 16打数4安打 打率.250{
これをみると並み居る好打者を抑えていることが分かる。これらの打者を見てわかることは、
・中距離・アベレージタイプの左打者が得意
・大きなスイングをしてくる右打者が得意
といったところだろうか。セリーグの打者でいえば金城、鳥谷、アレックスあたりに力を発揮するかもしれない。
小笠原 12打数5安打 打率.417
カブレラ(ソ) 15打数6安打 打率.400
ズレータ 10打数4安打 打率.400
本間 10打数4安打 打率.400
吉岡 11打数4安打 打率.364
礒部 11打数4安打 打率.364
松中 17打数6安打 打率.353
カブレラ(西) 15打数5安打 打率.333
栗山 12打数4安打 打率.333
これらを見てわかることは、
・フルスイングしてくるパワーヒッターが苦手
・広角に打ち分けられる中距離・アベレージタイプの右打者が苦手
といったところだろうか。セリーグの打者でいえばウッズ、新井、岩村、井端、種田あたりに苦戦するかもしれない。
・4年間の平均登板イニング約196回
規定投球回はチーム試合数の数字で、その数字に達するのもせいぜい各リーグ15人ずつ程度である中、
この数字は飛びぬけている。パウエルの早いイニングでノックアウトされにくい安定感あるピッチングと
完投も可能な無尽蔵のスタミナを証明する数字となっている。
・対右打者被打率.261、対左打者被打率.267
この被打率の数字は立派なものだろう。
さらに注目すべきところは、対右打者被打率と対左打者被打率にほとんど差がないということだ。
特定の利き腕の打者を苦にしないということは
右打者にも左打者にも好打者がずらりと並ぶ今日の球界において大きなプラス要素である。
・巨人戦を除く交流戦防御率2.54
試合数が少ないだけあって参考になりにくい部分はあるが、非常によい数字が残っている。
更に、どのチームと対戦したときも最低6回は投げており、先発の仕事をきっちりこなせているということがわかる。
・登板時盗塁阻止率.250
セラフィニ、バワーズのところでも説明したが、登板時盗塁阻止率は盗塁阻止数÷被盗塁企画数で算出している。
パウエルは24回盗塁を企画されわずかに6つしか盗塁を阻止していない。
この数字は外国人選手の中でもかなり低い数字で、走りやすい投手であることが分かる。
(2006.3.17訂正)
去年の巨人の投手陣は散々だった。
中でも先発陣は壊滅状態で、誰が投げても安心して見られる試合はないといった状況だった。
パウエルの補強はこのチーム状況に合った選手を探した結果なので、
先発ローテーションの一角を担うことになるのは間違いないと見ていいだろう。
パウエルは日本球界6シーズン目であり、ここまで毎年安定したピッチングを見せてきた。
また今年で30歳と若く、さらにパウエルの生命線である大きなカーブをセリーグで投げる投手はあまり見当たらない。
今まで出てきたデータから見ても、今年はかなり期待できるのではないだろうか。
エース上原、ベテラン工藤頼みの先発投手陣の負担を軽くしてもらうためにも、
200イニング登板、2ケタ勝利、防御率3点台
このくらいは期待してもいいのではないだろうか。