2006年高校生ドラフト指名選手短評

※これは昨日行われた高校生ドラフトで指名された選手を簡単に紹介しよう、という企画です。
 紹介文は筆者の主観であり、筆者がよく知っている選手の方が詳しく書かれる傾向にあること、
 某野球雑誌・某ドラフト関連サイトの影響を受けていることは気にしないようにして下さい

文責:ユースケ


1.横浜

1巡目 田中将大投手(駒大苫小牧)右投右打→抽選で外れ
外れ1巡目 北篤外野手(小松工)右投左打
 サード村田によると、「佐藤(ロッテ2巡目)が取れなかったから外野手だろう」とのこと。
 野手としては高校通算32本塁打。
 右中間・左中間にライナー性の鋭い打球を放ち、
 50m6秒0、ベース1周13秒台の快速で三塁打を量産していた。
 それでも最速145km、常時140km前後のストレートにカーブ、
 スライダーを織り交ぜるピッチングも捨てがたいところだ
3巡目 梶谷隆幸内野手(開星)右投左打
 今年の高校生は遊撃手に逸材ぞろいだがこの梶谷も引けを取らない。 特に守備・走塁はすばらしい。
 守備はフットワークがよく守備範囲が広く、ジャンプ力もかなりのものを持っており、
 なおかつ強肩。走塁では臆することなく次の塁を狙えるセンスのよさに俊足を持ち合わせている。
 打撃もきっちりセンターに返せる技術があり、パワーをつけてくれば楽しみな存在だ。
4巡目 高森勇気捕手(中京)
 今ドラフト屈指の強肩強打の捕手。本人も「バッティングならペタジーニ(元巨人)、キャッチングなら谷繁(中日)、
 捕手技術なら古田(ヤクルト)」と理想は高い。リード面ではクレバーでいろいろと考えて配球をしているようだ。
 打撃面ではローボールヒッターとツボははっきりしており、自分のポイントにくれば確実に長打を生む。
 敏捷性・真ん中から高めへの対応を鍛えて生きたい。

2.楽天

1巡目 田中将大投手(駒大苫小牧)右投右打
 もはや言うまでも無い、今ドラフト最強の投手。
 最速150km、常時140km台のストレートに加えてそれを上回る武器となっているスライダーを武器に
 2年生の夏から駒大苫小牧の事実上のエースとして2連覇に貢献、今夏も準優勝と結果を残した。
 ただ、この夏は若干フォームを崩してしまい、昨年良かったフォークが思うように投げられず、
 カーブ、チェンジアップといったボールが増えていた。それでも素材の良さと実力は不変であり、
 早い段階での1軍入りに加え、将来は球界の大エースとして君臨することが期待される。
3巡目 山本大明捕手(尾山台)右投右打
 遠投110mの強肩で、2塁への送球タイムは1.9秒ほど。50m5秒9と足も速く、
 打撃はミートセンスのよさと変化球への対応のうまさが魅力だそうだ。
 正直、名前も聞いたことが無かったので、筆者の見解の掲載は差し控える。

3.広島

1巡目 前田健太投手(PL学園)右投右打
 今年の目玉投手の1人。最速148km(噂では150km超を記録とも)、
 常時140km台のストレートとキレのある縦のカーブが武器で、
 さらにはフォーク、スライダー、チェンジアップと多彩な変化球を操る。
 ボーイズリーグ当時から全日本のエースで世界制覇するなど注目を集め、
 1年夏からエース格として甲子園に出場し、今春のセンバツではベスト4。
 コントロールも抜群で、行く末は広島のエースになれる逸材。
3巡目 會澤翼捕手(水戸短大付)右投右打
 直前になってドラフト候補に挙がってきた成長株。
 背筋力275kg、握力70kgを誇る怪力で、遠投100mの強肩も持つ。
 その上体の強さを生かしたパワフルなスイングで高校通算35本塁打を記録した。
 まだまだかなり荒削りだが、下半身が安定してくれば大化けもありそう。

4.オリックス

1巡目 田中将大投手(駒大苫小牧)右投右打→抽選で外れ
外れ1巡目 延江大輔投手(瀬戸内)左投左打
 今ドラフトの左腕では吉川(日本ハム1巡目)と双璧。
 サイドスローから投げ込まれる135k前後のストレートにキレがあり、クロスファイヤーの角度は抜群。
 これにカーブ、スライダーを織り交ぜるピッチングスタイルで多くの三振を奪いとることから
 “瀬戸内のドクターK”の異名がついた。
 コントロールも安定しており真ん中近辺にボールが集まってしまうことは少ない。
 フォーム・球種からして、おそらく左バッターだけでなく
 右バッターも打ちにくさを感じるタイプではないだろうか。
3巡目 梅村学人投手(三重)右投右打
 最速146km、常時140km前後のストレートとスライダーのキレは抜群。
 昨夏時点では球の威力が長く持たなかったというスタミナ面の課題と、
 今春まではランナーを出すと縮こまってしまい腕を思い切り振れなくなってしまう傾向があったが
 それらを改善し、スケールの大きいピッチングができるようになってきた。
4巡目 仁藤拓馬投手(島田商)右投右打
 最速145km、常時130km台後半のストレートとキレのいいスライダーが武器。
 特にストレートは普通の縦回転ではなくスパイラル系の回転をしており、
 金属バットで芯に当てても力負けして前に飛ばないほどの球威を持つ。
 あまりの球威で相手打者の金属バットが曲がってしまったことも。
 本格的に投手を始めてまだ3年でこの完成度、将来性も豊かと見ていいだろう。
5巡目 土井健大捕手(履正社)右投右打
 どっしりとした体型から放たれる打球は角度があり、アーチストタイプのようだ。
 高校通算40本を超える本塁打を記録している。
 ただ、現状では少しどっしりしすぎている感があるので、体を絞って、フットワークをよくしたい。

5.巨人

1巡目 堂上直倫内野手(愛工大名電)右投右打→抽選で外れ
外れ1巡目 坂本勇人内野手(光星学院)右投右打
 ライナー性のシャープな打球を放つ全国トップクラスの遊撃手。
 小学生時代には投手として田中(楽天1巡目、当時捕手)とバッテリーを組んでいた。
 1年秋からレギュラーを獲得し、同時に中軸を打ち始めて
 今春にはセンバツにも出場、高校通算39本塁打をマークした。
 守備はダイナミックな動きと柔軟なリストワークを見せているが腰が高めなのが気がかり。
 じっくり育ててもらいたい。
3巡目 田中大二郎内野手(東海大相模)左投左打
 昨春のセンバツで目の覚めるようなスイングで
 2試合連続本塁打を放ったという事を覚えている人はどれだけいるだろうか。
 当時は2年生スラッガーとして注目され、今ドラフトの目玉になるのでは、と注目されたのだが、
 今年はそのスイングから思うような打球は飛ばなかった。
 それでも、スイングスピードには目を見張るものがあり、肩も強いので時間をかけて大器に育ってほしいものだ。
4巡目 伊集院峰弘捕手(鹿児島実)右投右打
 1年夏に3番・三塁手として甲子園の経験を持ち、その経験で得たフットワークと強肩を生かした守備は軽快だ。
 打撃もきっちりとセンターから右方向へ打ち返せるうまさを持っており、
 右中間・左中間へのライナー性の打球は伸びていく。
 三塁手→捕手→三塁手→捕手とコンバートを繰り返しており
 どちらで育てるかはわからないが、いずれにせよしっかりと体を作っていきたい。

6.ロッテ

1巡目 大嶺祐太投手(八重山商工)右投左打
 故障と闘いながらの3年間も素材は抜群。最速150km、常時140km台のストレートに高速スライダーが武器。
 ポニーリーグ当時はエースとして全国制覇、アジア太平洋大会優勝、世界大会制覇。
 今年は甲子園に春夏連続出場を果たした。故障がちでこれだけのピッチングができている、
 競合を嫌うバレンタイン監督が競合を選択してまで獲得したということは
 将来性が抜群ということ。大成してもらいたい。
2巡目 佐藤賢治外野手(横浜)右投左打
 今春のセンバツ優勝、今夏の甲子園出場に大きく貢献し、
 福田(中日3巡目)の打撃不振を補って余りあるほどヒットを量産していたのは記憶に新しい。
 打撃ではミートセンスに加え左中間・右中間に打ち分ける技術とパワーに柔軟で強靭なリスト、
 走れば50m6秒1、投げれば遠投115mと走攻守とも才能の塊のような選手。
 左投手も全く苦にしない。まだまだ荒削りだが、将来性は抜群だ。
3巡目 黒滝将人投手(札幌日大)右投右打
 回を重ねるごとにエンジンがかかってきて後半のほうが投球内容がよくなる先発型の投手。
 ストレートは常時140km前後を記録し、これにスライダー、カーブを織り交ぜる。
 プロではさらなるパワーアップと、変化球のコントロール、新しい球種の取得が求められてくるだろう。

7.ヤクルト

1巡目 増渕竜義投手(鷲宮)右投右打
 知名度は田中(駒大苫小牧)に劣るものの、実力は田中に匹敵、あるいはそれ以上とも言われる。
 最大の武器はスリークオーターから投げ込まれる最速149km、常時145km前後のストレート。
 さらにスライダーは変化量・キレともにすばらしく、
 他にもフォーク、シンカー、シュートと多彩な変化球を持つ。
 甲子園出場こそ無いものの、今夏の甲子園予選ではノーヒットノーランを達成するなど実力は折り紙つき。
 田中(楽天1巡目)と出世争いだ。
3巡目 上田剛史外野手(関西)右投左打
 遠投110mの強肩に50m5秒9の俊足を生かした外野守備はかなりのもの。
 打撃ではパンチ力を秘めており、それがコンスタントに出るようになってくれば面白い。
 そのためにも、バットを振りぬくときのインパクトを強くできるようパワーアップしていきたい。
4巡目 山田弘喜投手(城東工)右投右打
 最速145km、常時140km前後のストレートもさることながら、
 本人が「弘喜ボール」とか「ダイナマイトスライダー」とか呼んでいる縦のスライダーが大きな武器。
 普通の握りを改造して投げているようで、フォークのような軌道からスライダーのキレで落ちるボールだそうだ。
 遠投120mと地肩も強く、将来が楽しみな投手だ。

8.ソフトバンク

1巡目 大嶺祐太投手(八重山商工)右投左打→抽選で外れ
外れ1巡目 福田秀平内野手(多摩大聖ヶ丘)右投両打
 外れ1巡目の中では最も隠し球的な存在ではなかろうか。
 シュアな中距離ヒッターで、スイッチヒッターながら高校通算38本塁打と長打力を持つ。
 打撃よりも遊撃守備のほうが評価は高いようで、横の動きに対応する敏捷性、
 捕球から送球動作への柔軟性・バランス感覚はすばらしいものがある。
 流れるような動作にメリハリをつけてさらにレベルアップを目指したいところだ。
3巡目 伊奈龍哉内野手(近江)右投左打
 中学時代は砲丸投げで3度の日本一に輝き、高校に入ってから本格的に野球を始めたという異色の経歴の持ち主。
 背筋力300kg、握力85kgという桁外れのパワーを生かして高校通算74本塁打という段違いの記録を残した。
 1年前に右肩を手術しているため一塁を守ったが本職は外野手。
 その肩はマウンドで140kmは投げられる強肩で、50m6秒1という俊足でもある。
4巡目 李秉諺内野手(岡山共生)右投右打
 台湾出身の選手特有の強靭なリスト柔軟なバネを持ち、抜群のパンチ力で高校通算53本塁打を記録した。
 守備も地肩が強く強烈なノビを見せるスローイングで刺していた。
 ただ、これも台湾出身の選手にありがちなのだが
 基本的なプレーの精度がやや低い。そのあたりを改善していくといいだろう

9.阪神

1巡目 堂上直倫内野手(愛工大名電)右投右打→抽選で外れ
外れ1巡目 野原将志内野手(長崎日大)右投右打
 今年の高校生は遊撃手に逸材ぞろいだが野原のスケールの大きさは随一。特に守備・走塁に光るものがある。
 守備は遠投100mの強肩を生かした深い位置からのスローイングが見事で、
 縦の動きも軽快。走塁は50m6秒0の俊足で、トップスピードに入るのが早い。
 打撃では外角をさばくのがうまく、高校通算30本塁打を記録した。
 内角はやや苦手のようで、ここの改善が必要だ。
 スイングがややドアスイング傾向にあることを改善すればよくなるのではないだろうか。
3巡目 橋本良平捕手(智辯和歌山)右投右打
 ボーイズリーグ当時から全日本の前田(広島1巡目)とバッテリーを組み4番として活躍して注目を集めていた。
 入学後しばらくは戸惑ったが持ち前の長打力を発揮し高校通算40本塁打を超えた。
 守備では打者との駆け引きもなかなかのものだがキャッチングがすばらしい。
 チャンスでの集中力も持ち、将来が楽しみな逸材だ。
4巡目 横山龍之介投手(日本文理)右投右打
 長い故障を乗り越えて常時140km前後のストレートを投げられるまでに復活した。
 その球威もなかなかのものだがこれに縦のスライダーが加わって調子のいい日は奪三振ショーが見られる。
 故障を克服してからまだ1年ほどなので、これから体を作っていくといいだろう。

10.西武

1巡目 増渕竜義投手(鷲宮)右投右打→抽選で外れ
外れ1巡目 木村文和投手(埼玉栄)
 投げる、打つ、走る全てが揃ったオールマイティな選手。
 常時140km台前半のストレートにキレのいい高速スライダー、
 さらに縦のスライダーで打者を翻弄する投球に、
 広角に打てる技術に高校通算30本塁打を超える長打力を併せ持つ打撃、
 50m5秒7の俊足とどれをとっても一級品。
 本人は投手志望のようだが、投手・野手どちらで育てても大物になれる逸材だ。
3巡目 朱大衛投手(中部大一)右投右打
 早い段階から大器の片鱗を見せていた逸材。中学3年時点で最速140kmに達し、
 現在では常時140km台前半が出るまでに成長。
 縦、横のスライダーにカーブ、フォーク、チェンジアップと変化球も多彩。
 打ってもツボに入れば150m級の本塁打が打て、走れば50m6秒0の俊足。
 その身体能力は計り知れず、投手としても野手としても無限の可能性を秘める未完の大器だ。

11.中日

1巡目 堂上直倫内野手(愛工大名電)右投右打
 野手なら今ドラフトナンバーワンの素材。ライナー性の打球を広角に打ち分けて高校通算55本塁打。
 2年生から4番を打ち昨年の春のセンバツ優勝に貢献し、夏の甲子園も2年連続出場。
 今夏は少しフォームを崩してスイング軌道がやや外回りになっていた。
 守備では3年生では遊撃手だったがそこまで上手い方ではないので、
 その前年までの三塁手の方があっている感がある。スケールの大きな素材だ。
3巡目 福田永将捕手(横浜)右投右打
 肘の故障もあったが強打が魅力。
 高校通算30本塁打を超えているが学年が上がるにつれて打球が放物線からライナー性に変わりスタイルチェンジ。
 守備ではキャッチングに加え打者との駆け引きに光るものがあった。
 ただ、困ったときには外一辺倒になるなど課題はまだまだ多いので、これからじっくり学んでいきたいところだ。

12.日本ハム

1巡目 田中将大投手(駒大苫小牧)右投右打→抽選で外れ
外れ1巡目 吉川光夫投手(広陵)左投左打
 今ドラフトの左腕では延江(オリックス1巡目)と双璧。
 この1年間で大きな成長を遂げたストレートは最速147km、常時140km台を記録しており、
 身長のわりに角度がありクロスファイヤーの威力は十分。
 さらに落差・キレとも申し分ない縦のカーブは空振りのとれるボールで、スライダーを織り交ぜて打者を翻弄する。
 もう少しコントロールが安定してくればさらなる飛躍が見えてくる。
3巡目 植村祐介投手(北照)右投右打
 最速147km、常時140km台のストレートに縦のカーブ、スライダーを武器に
 今夏の甲子園予選では駒大苫小牧を文字通りあと一歩のところまで追い詰めた。
 ストレートは速さだけでなく手元での変化をつけるムービングボールにも取り組んでいる模様。
 体を鍛えてさらなるスケールアップに期待。
4巡目 ダース・ローマシュ匡投手(関西)右投右打
 インド人の父を持つ190cmの長身。故障と闘いながらの3年間だったが、
 故障を抱えながらストレート140km後半を記録するなど素質は抜群。
 ストレートは常時140km台、変化も大きい高速スライダーに
 打者の感覚を狂わせるチェンジアップと持ち球にも光るものはあるので
 故障を克服して体ができた時が楽しみな未完の大器だ

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